UTMポイントとは、地球上の場所を5桁の英字と8桁の数字を組合せ表記したものです。参考資料3にはUTMポイント、UTMグリッドについて以下のように説明されています。参考資料4、参考資料5に詳細な説明が記載されています。参考資料6によるとUTMグリッド地図は2012年11月に自衛隊、警察、海上保安庁など防災業務に関わっている機関の共通地図として使うことを決めたそうです。
緯度、経度は地球を球形と考え、グリニッジ天文台を0度とし東西に180度に分けたのが緯度、赤道を0度とし北90度、南90度に分けたのが経度です。これに対しUTMポイントは地球表面を100km毎に区切り、その中は平面とみなし基準点から東〇〇◯◯ (x10m)、北xxxx (x10m)のように記述します。
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参考資料3より引用
○UTM ポイント 54SVE17689580
【表示の説明】
54:座標帯番号
(例えば東経 132-138 度は 53,東経 138-144 度は 54)
S:緯度方向(南北方向)を8度ごとに区切り、アルファベット1文字を割り当てたもの
(例えば北緯 24-32 度は R,32-40 度は S)
VE:100km 四方のエリアを一定の表記法によりアルファベット2文字で表示したもの。
(UTM100km 平方地域コード)
1768:経度方向(東西方向)の UTM 座標値 (417680(m)を、1768 と表記)
9580:緯度方向(南北方向)の UTM 座標値 (3995800(m)を、9580 と表記)
○UTM グリッド゙ 54SVE17509550
【表示の説明】
・グリッド番号は左下座標値を表示
・表示方法は、ポイント番号と同様
地理院地図の UTM グリッド表示機能の作成にあたっては、
THE UNIVERSAL GRID SYSTEM を参考としています。
参考資料6 より引用
戦略会議のコアメンバー20機関による共通地図の打ち合わせ(11月28日)
→中部圏では自衛隊仕様のUTMグリッド地図を共通地図とすることが決定された
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地理院地図、Gmap4ではUTMポイントで位置検索できますが、Googleマイマップやその他の地図は未対応です。またUTMポイントで位置検索できる地理院地図、Gmap4もUTMポイントでの位置登録は未対応です。Googleマイマップ、地理院地図、Gmap4、その他の地図に位置登録するには、以下のいずれかの方法でUTMポイントを緯度・経度に変換します。
地理院地図はUTMポイントをサポートしています。UTMポイントで場所を検索できる他、UTM→緯度経度、緯度経度→UTMポイントの相互変換可能です。ただ複数UTMポイントを一括変換したり、一括登録することは出来ません。インポート・エキスポートできるのはkml形式、geojson形式です。csvファイルはkmlまたはgeojsonのどちらかに変換します。csv→kml変換については 別ページ で説明します。地理院地図によるUTM↔緯度・経度個別変換の手順は以下です。
1.地理院地図にアクセスします。 http://maps.gsi.go.jp/
2.検索窓にUTMポイントを入力します。ここでは神奈川県民サポートセンターのUTMポイント 54SUE74872587 を入力します。
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3.地図が拡大表示され、下部左に住所、緯度、経度、UTMにポイント、高度などが表示されます。54SUE74872587 に対応する緯度、経度は 35.468482,139.620867 であることが分かります。この緯度、経度をコピーします。
(ヒント1)表示バーが隠れている時は地図下部の上矢印をクリックして下さい。
4.緯度・経度をUTMポイントに変換する際は、➀経度(けいど)、➁緯度(いど)の順にして下さい。緯度(いど)、経度(けいど)順だと検索も変換もできません。
(ヒント2)地理院地図は経度(けいど)、緯度(いど)順で検索しますが、Googleマイマップは緯度(いど)、経度(けいど)順です。紛らわしいですが間違えないようにして下さい。
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地理院マップシートは、xlsx形式のファイル(Excel)から地理院地図にインポート可能なkml形式、またはgeojson形式に変換するExcel VBAソフトです。住所から緯度、経度への一括変換、UTMポイントから緯度、経度一括変換し、更にkml、geojson形式に変換できます。地理院マップシートは以下からダウンロード可能です。UTMポイントから緯度、経度への変換方法は地理院マップシートソフトと同時にダウンロードされるマニュアルを参照して下さい。
地理院マップシートを使うには以下のサイトを参考にExcelのマクロを有効にして下さい。
(事前準備)
EarthPointホームページ( http://www.earthpoint.us/ ) にアクセスしユーザー登録します。
学生、教職員、人道団体(Humaritarian)は無料ですが事前申請が必要です。商用は有料です。
1. まず変換したいUTMを登録したxlsxファイルを用意します。ここでは仮にutm.xlsxとします。A1セルはタイトル行とし Position と記入します。A2セルより下に変換したいUTMポイントを記入します。
(ヒント1)A1セルが空欄や、A1セルにUTMポイントが入っているとエラーになります。
(ヒント2)GoogleスプレッドシートはEarthPointにインポートできません。xlsx形式でパソコンにダウンロードし、EarthPointにインポートします。。
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2.EarthPointにアクセスし、左メニューの➀「Batch Convert」をクリックします。
3.Convert toで、➁「Lat/LOng Decimal Degrees(ddd.ddd)」にチェックを入れます。
4.Put Converted Values:で➂「After Input Coordinates」にチェックを入れます。
5.➃ Select an Excel fileでパソコン上のulm.xlsxを選択します。
6.⑤ Convert the fileをクリックします。
7.ulm_converted.xlsxというファイル名でExcelファイルがパソコンに自動ダウンロードされます。
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8.utm_converted.xlsxのB1セルにはto Latitude、C1セルに to Longitudeのタイトルが表示され、B2セルより下に緯度が、C2セルより下に経度が表示されます。
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地理院地図でUTMグリッドを表示させると、神奈川県はUTMグリッドの 54SVE、54SUE、54SUF、54SVFで囲まれた赤四角内に入っていることが分かります。また横浜駅は54SUE70003000、54SUE70002000、54SUE80002000、54SUE80003000で囲まれた赤四角の真ん中辺です。
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四隅の緯度、経度はそれぞれ以下です。
54SUE70003000(緯度35.505067,経度139.566553)
54SUE70002000(緯度35.414928,経度139.568152)
54SUE80002000(緯度35.505067,経度139.566553)
54SUE80003000(緯度35.506327,経度139.676791)
おおまかに言えば、東に10kmで経度が0.11度、北に10kmで緯度が0.09度大きくなります。
横浜駅のUTMポイント54SUE75022559は54SUE70002000地点から東に5020m、北に5590mを示します。言い換えれば、横浜駅の経度・緯度は、54SUE70002000の経度+0.11x0.502、緯度+0.09x0.559位です。実際の経度・緯度と計算結果を比較すると以下のようにほぼ合っていることが分かります。
横浜駅の実際の経度:139.622571 実際の緯度:35.465960
計算した経度:139.623 計算した緯度:35.465
UTMグリッド線は緯度・経度線に対し僅か傾いているので実際の計算ではこの分を補正します。実測した結果、10km単位のUTMグリッド4点で緯度・経度が一致するよう補正すると、その内部のUTMポイントも誤差1m以内で一致することが分かりました。
(公開用)UTMポイント→緯度経度一括変換(東日本版)では、UTMグリッド54TTM、54STD、54SXD、54TXMで囲まれた東西方向400km、南北方向800km範囲の10km毎のUTMポイント3,200ヶ所(を基準データとしてスプレッドシート上に保存し、この3,200ヶ所のUTMグリッド点で実測値と計算値が一致するよう補正しています。(実際は海上は省略しているので2,000ヶ所弱)
(ヒント)Web上で誰でも使えるようGoogleスプレッドシートを使いましたが、Excelでも同じです。
(願望)国土地理院が「地理院マップシート」だけでなく、Web上でUTMポイント↔緯度・経度一括変換できるツールを提供してくれると一番良いのですが。
UTMポイントは10m単位に付いています。。このため防災訓練など、限られた場所でDITS投稿するとUTMポイントが重なるケースが出ます。例えば3〜4mの範囲で5回DITS投稿した時、全て同じUTMポイントが付加される可能性があります。同じUTMポイントは地図上で同じ場所に表示されるため、個々の投稿を区別しづらくなります。
UTMポイントが重なった時、マーカーの表示位置を少しシフトするようにすればこの問題は解消できます。以下はその一例で、UTMポイントが1つだけの時はソフト無し、2つ目は東2m,北2mシフト、3つ目は東2m、4つ目は東2m、南2mのようにシフtしています。9以下の重畳であれば2mシフトでカバーできます。それ以上UTMポイントが重なる場合は4mシフトさせれば最大25回の重畳までカバーできます。1つのイベントでのDITS投稿は数10〜200程度なので25カバーできればまず問題ないでしょう。
UTMポイントの重畳チェックにはCOUNTIF関数(カウントイフ)が便利です。
例えば、I2セル〜I39セルにUTMポイントが収納されている場合、L2セルに以下のCOUNTIF関数を挿入し、その関数をL3~L39セルにコピーすることでUTMポイントの重畳を検出できます。
sameUtm =COUNTIF(L2:L39,L2)
UTMポイントの重畳個数が分かれば、VLOOKUP関数を使って地図上で東西南北に、-4m、-2m、0m、+2m、+4mシフトさせます。地図上2mに相当する緯度は0.000018度、経度は0.000022度です。したがってsameUtmの値で、緯度を0,±0.000018度、±0.000036度、経度を0,±0.000022度、±0000044度のどれかを選択できるようなルックアップテーブルを用意すれば、UTMポイントの数により地図上で緯度、経度を0、±2m、±4mシフトさせることが出来ます。
緯度、経度シフト用ルックアップテーブル
重畳したUTMポイント毎の緯度、経度シフト例
(準備)まず緯度、経度シフト用ルックアップテーブルを用意する。ここでは「補正シート」のA1〜C26セルに上記テーブルを用意したものとする。
UTMポイントと対応する緯度、経度に対し、以下の手順で重畳数に応じ緯度、経度をシフトする。
なお、UTMポイントはI列、対応する緯度J列、経度K列、sameUtm L列、緯度シフト値M列、経度シフト値N列、緯度シフト後O列、経度シフト後P列としている。
1. L2セルに =countif(I2:I39, I2) を挿入する
2. L2セルをコピーし、L3〜L39セルに貼り付ける
L2セル〜L39セルにUTMポイントの重畳状態が表示される。L3セルの4は同じUTMポイントが4つ存在することを示す。
3. M2セルに =VLOOKUP(L2,補正!$A$2:$C$26, 3)を挿入
VLOOKUPテーブルで緯度シフト値を参照
4. N2セルに =VLOOKUP(L2,補正!$A$2:$C$26, 2)を挿入
VLOOKUPテーブルで経度シフト値を参照
5. L2セル〜N2セルをコピーし L3〜N39セルに貼り付ける
6. M列には緯度シフト量、N列には経度シフト量が表示される
7. O列にシフト後の緯度、P列にシフト後の経度が表示される
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8. 以下に地図上の表示例を示します。(UTMポイントが8件重畳した例)
UTMポイントが8個重畳した時の地図上の表示例。
センターはシフト無し、
右上は、東に2m、北に2m、
右は、東に2m
右下は、東に2m、南に2m、
真下は、南に2m
左下は、西に2m、南に2m、
左は、西に2m
左上は、西に2m、北に2m,
それぞれシフトして表示される。